伍の講座 装飾学について

編集・制作・運営:Robin H.M.
Copyright (C) 2002,The Robin H.M.,All Rights Reserved.
本ページ内に掲載の記事・画像などの一切の無断転載を禁じます。
 T.配置のバランスの考え方

 構図について
 構図とは本来、絵画で使われる用語です。絵の中に、色彩、形状、線、明暗、濃淡などをどのように効果的に配置するかで使われています。この構図の考え方を装飾学では料理の盛り付けの中に置き換えていきたいと考えています。
 まずは構図とは、どんなことか基本を知ることが大切なのでそこから説明をしていきます。
 絵画や写真など、どういったレイアウト(主となる題材とそれ以外題材)で配置にするかによって、バランスが良かったり悪かったりします。構図は、表現したい主題に対して、どういった考え方を現すかによって、その描写は違ってきます。安定して落ち着いた描写か、反対に不安定さを強調を表現する描写か、躍動感や奥行きのある表現を現したり等、作り手の表現によって変わります。
 同じ題材でも、構図によっては全く違った雰囲気を演出で、個性を出すことができます。

 構図の基本パターンについて
 黄金分割(三分割法)
図1 〜豆知識〜

 黄金分割の比率は、古代ギリシャ以来、何世紀も人々の美的感覚を魅了してきましたが、黄金比は、プラトン時代のエウドクソスが考え、その後レオナルド・ダ・ビンチが名付け、芸術の世界で使われるようになりました。
 主な黄金比率を用いたものですと、ギリシャ遺跡のパルテノン神殿の縦と横、ミロのビーナスのへそから上と下、名刺の縦と横等があります。
 数式で表すと1:(1+√5)/2 ≒ 1:1.618となります。
 黄金比率の1:1.618は、人が本能的に美しいと感じる比率であり、自然界でも多く見られる比率です(ひまわりやバラの模様やオーム貝に見られる螺旋等)。
 黄金分割の比率を解りやすく説明するために、図1のように長方形のフレームに上下左右を三等分して、対角線上に2本線を引いた図にて説明していきます。
 3本線の交点する場所にそれぞれ番号が振ってありますが、ここのいずれかに主題を置く事で、黄金比率となります。
 つまり、1(3)の点に主題(物質)を持ってきたら、2(4)の点に副題(又は空間)を持ってくるように意識します。
 三角形構図

 主題の画面内に三角形にて配置された構図事です。三角形の構図では、Aのような配置は安定感した静的なイメージがあります。その反対にBような配置は、不安定感が強調されて動的なイメージになります。
 実例で挙げるとCの写真のシャンパングラスのみ写真は上側が逆三角形の配置のための不安定な構図ですが、Dの写真のシャンパングラスの下にビー玉を配置する事で安定感を出す事ができます。
 線による構図

 林などの画面内に上下に伸びる線は、天地の流れを表現を強調することができます。
 水平線などは左右に広がりを表現することが出来ます。
 斜めに横切る線は臨場感(遠近感)を強調することができます。
 放射線構図
 放射線は、画面に広がりや、躍動感を出すことができます。
 放射線状の中心をどこに置くかによって、印象が変わります。
 点による構図
 主題を一点に絞ると、視線をそこへ集中させることができます。平凡な背景の中心に主題を配置することで、主題を強調することが出来ます。背景が色彩やコントラストにて強調されれば、主題をより一層強調することが出来ますが、あまり派手だと主題がボケてしまいます。
 対象構図(シンメトリック)
 この写真は清水隆史氏のホームページの富士彩景の
画像を借用しています。
 上下や左右が対称な構図(鏡像)です。安定感があり静的なイメージです。

 構図のマトメ
 構図の代表的な6パターンを紹介しましたが、いかがでしたか?「料理じゃなくて写真の勉強ですか!?」って聞こえてきそうですが、あくまでも基礎を知って頂くための便宜上、写真の構図の講座になっていますが、このパターンを料理の盛り付けに生かすことで、料理をより一層引き立たせる事ができると思います。お皿の上のキャンパスに料理をどう盛り付けをし、どんな表現をするかは、貴方の感性次第です。同じ材料でも構図の取り方次第で色々な表現をする事が出来ます。
 詳しくは、食彩倶楽部流提案書「食彩倶楽部流の盛り付け方」編をご覧下さい。
 

  次は、「U.色のバランスの考え方へ」の講義へお進み下さい。
食彩倶楽部へ