四の講座
調味料の基礎

 はじめに
 調味料の基礎では、味付けについて調味料の基礎を交えながら講義して行きます。
 味付けには、味を付ける手順(さ行の原則等)と調味料の量(濃度)が大切です。もちろんこれ以外に料理の手際さや火力の使い方など、大切な部分もありますが、家庭料理においては、あらかじめ下ごしらいをする(材料を切り分けておくや調味料を計り準備をする等)ことにより手際さはある程度補う事ができます。火力については家庭用のコンロでは限界がありますで、よくフライパンを熱しておくことでカバーします。
 しかし、味付けについては、ある程度、感性の部分と思っている方もみえますが、一定の法則がありますので、これに準じることで、補う事ができます。調味料の基礎ではこれらの法則を講義していきます。
 ファミレスやチェーン店(ラーメン屋やカレー屋等)など、どこに行っても、その店独自の味ですが、これは一人分も千人分も一人当たりの調味料の量は同じためで、これは当たり前と思われますが、実際ご自身が料理を作る際、普段2人分しか作らなくて、いざ5人分を作るとき、味が薄かったり、濃かったりするのは、普段の勘で「これ位入れればいいだろう」と、いったあいまいさが、結局普段作る一人当たりの調味料の量より少なかったり、多かったりするのです。
 最後に、調味料を計る時に使う計量器具について講義をします。

 さ行の原則

 さ行の原則を知っていますか?

 「」とは砂糖
 「」とは塩
 「」とは酢
 「」とは醤油
 「」とは味噌

 のことを指します。
 
 さ行の「」と「」は、浸透圧の違いが大きな鍵となります。
 砂糖より塩の方が分子構造が小さいため、食材に塩が吸収されてしまうと、食材に含まれる水分が、浸透圧により食塩水と入れ替わってしまいます。そんな状態の中に、分子構造の大きい砂糖を入れても、食塩水の方が分子が小さいため、外へ入れ替わる事が出来ません。また、塩分は素材を硬くする特性があります。
 つまり、砂糖を先に入れることにより、浸透圧により食材の水分と砂糖水が入れ替わり、この時、砂糖の持つ力(特性)で、食材が軟らかくなり、深部まで味が染込みます。
 そこへ塩を入れても、深部まで染込んだ砂糖水を、すべて外に押し出すことはできませんので、食材に甘味がしっかり残り、塩味も利かすことができます。
 しかし、使い方によっては、食材自体の味を押さえ込んでしまう可能性があり、甘味の少ない食材(甘味のないカボチャなど)などに有効ですが、逆に煮魚などは砂糖と塩を、ほぼ同時に入れることで、表面に甘味を出しながらも、身の中は素材そのものの味を、しっかり残して、素材の味を表現させることできます。

 さ行の「」「」「」ですが、これは風味の部分(香り)が占めていますので、火から下ろす直前に入れないと、香りが飛んでしまいます。
 醤油や味噌は火を通しすぎると、香りが飛んでしましす。しかし、八丁味噌など沸騰させても、香りがしっかり残り、煮込み味噌うどんなどに最適な調味料もありますで、一概に悪いとは言えません。
 酢は本来一番最後に入れた方が本来は良いのですが、鶏肉など軟らかく煮込みたいとき「酢」を先に入れ煮詰める事で食材を軟らかくします。
 
 さ行の原則は必ずしも、その順番でなければいけないかと言えば、必ずしもそういう訳ではありませんが、一瞬迷ったときは、この順番で入れれば、無難で、失敗は少なくなります。
 
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